硲 伊之助美術館

石川県内には個人の美術館が幾つかあります。
大型美術館ではたくさんの美術作家の作品を揃えて並べるため、作家の個性が際立って一種の統一感やテーマ性が欠ける機来が多々あります。個人美術館は本人のみの作品がメインですから、その点では違和感なく見られます。
欠点と云えば、作家や作品への好き嫌いが個人によって変わるので、家族やアベックだと一人だけが見入って、もう一人が渋い顔で手持無沙汰で外で待ってるなんてのがよくあります。

我が家でも、嫁さんと僕では好みが離れすぎていて、意見の一致を観る美術館は珍しいくらいです。
とは言いつつ、作家の事や画風なんてよく解らず、眺めては気に入るとじっと見続ける似た者夫婦なんですけどね。そんな夫婦が好きな作家の美術館と意見がそろう、珍しい美術館が「硲 伊之助(はざまいのすけ)美術館
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かれこれ24.5年程前、我家族は僕の転勤もありましたが、新潟から石川(元々僕の生まれ故郷なんですが10何年振りの帰郷でした。)に引っ越してきたんです。まあ、3年程で次の勤務地(滋賀・守山)に引っ越したんですが。。さすがに高校以来離れていたので、生まれ育った県とはいえ、意外に名所旧跡が解らないんですよね。
その時に購入したのが、能登出版の「見る・学ぶ・遊ぶ石川県の博物館」¥1800、54の施設を紹介した本
その本を参考にその3年で8割がたを踏破したんですが、その中に加佐ノ岬にある「硲 伊之助美術館」に訪れたんです。当時は辺鄙な場所でしたが、木彫の展示室にあった絵画はゴッホ・セザンヌなどに影響を受けたタッチで夫婦で気に入っていました。滋賀から戻ってからも機会があったらまた来たいと云いつつ、なかなか行けなかったんです。
硲伊之助氏が終の棲家として過ごした加賀市吸坂の窯跡にも私設美術館があるし一度急ぎ足で観たんですが、そちらにももう一度は行ってみたいと思っていたんです。

硲伊之助氏(1895-1977)は、19歳で二科展に初入選、芸術家団体一水会の設立メンバーでその後会長も務めています。その後も日本美術会の会長なども歴任しています。
戦前からヨーロッパ絵画の紹介に尽力していて、絵画展の開催やゴッホ・セザンヌに絵画は影響を受けたようです。絵画活動以外にも芸術作品の紹介、翻訳、評論、名画解説など活動は多岐にわたっていました。
僕が読んだことのあるもんでは「ゴッホの手紙」。名画解説では美術書以外にも「群像」「中央公論」「文芸春秋」などにも書いていて何度か目にしました。
その間にも、アンリ・マティスに師事したり、その活動は製作以外にも多岐に活動しています。
67歳で古九谷に惹かれて、加賀市吸坂町に吸坂窯を築いて、晩年は陶芸に専念しています。一水会に先代の柿右衛門と陶芸部を設立しています。色絵磁器の作成にまい進したようで、美術館に作品が展示されています。
古九谷を目指したように色彩を抑えた感じですが華麗さは目を惹きます。、大皿は吸い込まれる出来です。ちなみに陶芸家としての号は硲三彩亭。
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今週、仕事の関係で近くに用事がありまして、ホントに久しぶりに再訪することができました。一人で行ったのがばれると嫁さんに恨まれるので内緒ということで

美術館は南郷小学校の脇を入って行くとある村落を更に奥の山に入ったところ。初めてだと迷ってしまうかも。
しかし、木々に囲まれた自然の多い所です。ここまで奥まっていると、訪れる人も少ないようです。
時刻も遅かったので閉館かななどと思いつつ玄関に行ってみるとしっかり鍵がかかっています。それでも未練たらしく建物の廻りをウロウロしていたら、陶芸家で館長さんが窯から僕の姿を見つけたみたいで、良かったらどうぞと開けてくださいました。なんて優しい方でしょうねえ^^ しかもお茶と飴までご馳走になりまして、茶飲み話までして頂きました。おかげで、久しぶりに作品にお会いすることが出来ましたし、楽しかったあ^^
今度が嫁さんを連れて来ると御約束して失礼してきました。
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それにしても、ここもそうなんですが古民家を美術館にしています。加佐岬の美術館は外観はレンガ造りの洋館ですが、中は古民家の部材で出来ており、足元の質感も柔らかく感じますし、絵画や陶芸の色感も木材に合うんですね。吸坂はそれほど作品は多くありませんが、作家本人が手元に置いていたものがあり愛着が感じられます。逆に加佐岬は芸術性の高い作品と人気があることを感じさせます。

吸坂窯は跡を継いだご夫婦作家が活動するため、内部は見学禁止のようなので残念ですが、建物も茅葺で雰囲気有るし、広場からの景色も良い場所です。外観だけでも見る価値がありますねえ。
こんな静かな場所で自然に恵まれ、奥まっているから人もそれほど来ないなら創作にはうってつけの場所ですねえ。
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美術館から降りてくると、神明神社があるんですがこちらもなかなか良い感じ、拝殿や本殿も古式だし、古木も大きい木が多く目を惹きます。ただ、由緒書きなどがなく、よく解りませんでした。名前から伊勢信仰に関係するとは思うんですけどね。鳥居や狛犬は大正初期の建立ですから、建物も同時期のようです。
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今回は吸坂窯のある美術館を紹介しましたが、加佐の岬の潮騒の聞こえる美術館もお奨めです。散策するだけでも良い場所です。機会があったら行きたいなあ

旅行日 2012.06.08

硲 伊之助美術館 吸坂窯


硲 伊之助美術館 加佐ノ岬

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この記事へのコメント

  • がにちゃん

    何やらひかれる 美術館ですね
    2013年06月13日 15:04
  • つとつと

    がにちゃんさん
    こちらは工房の付属施設みたいなものなんですが、加佐岬の美術館は音楽コンサートも行われたりしてます^^そうそう喫茶レストが良くて女性向です^^
    2013年06月15日 11:44

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