五十谷(ごじゅうだに)の大杉

白山一里野からの帰り道、
この時季は気温も過ごしやすいし空気も何となく澄んで感じますから、ついつい気持ちよく走っちゃうんですが。。白山麓は冬支度もあって道路やスノーガードの補修が急ピッチで、あっちこっちで片側通行になっています。あと1か月ほどもすると雪の話題が出るんでしょう。そのために頑張って貰ってるんでありがたいんですが、さすがに何度も停まって待っているとウ~ンってなっちゃいます。

で、まっすぐ家に帰るのを変更して、鳥越の別宮神社(べつくじんじゃ)を左折して五十谷(ごじゅうだに)の方に寄り道してみることに。。
帰り道の関係であまりこちらの方を通らないので、知らない道の一つだったんです。でもこの道沿いに知る人ぞ知る有名なものが二つあるんです。
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大日川から支流になる堂川にそって5キロ程道を進むと五十谷八幡神社が右手に現れます。ここまで来ると、ホントに人里離れたというのが実感できます。でも、この神社に素晴らしい杉が御神木としてあるんですよ。間近で観ると圧倒されるくらいの荘厳さのある木です。県指定天然記念物「五十谷の大杉
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長い腕を水平に伸ばしたような姿は、異形ともいえる迫力と荘厳さを併せ持っています。以前にご紹介した吉野谷の御仏供杉(おぼけすぎ)の仲間ですが、まったく違った姿を魅せてくれています。山中の人里離れた所にある巨木の姿に、しばし感嘆と共に木の形や枝の流れに見入ってしまいました。
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日本に自生する杉は日本特有の固有種になります。国内の樹木の中でも長寿で高さも一番の木です。
土壌や生態で多くの品種があるのですが、大きく分けると太平洋側のオモテスギ、日本海側の東北から山陰にかけての雪の多い地域のウラスギ(アシウスギ)になります。一部の説ではオモテスギの仲間ですが九州のヤクスギも別分類するそうです。オモテスギとウラスギは樹形や枝の付き方に違いがあり、葉の化学成分にも違いがあるそうです。近年になって遺伝子の違いが発見されたそうです。
オモテスギは真直ぐに伸びる傾向が強く、雪が積もると枝や幹が折れたり割れたりしやすいのですが、ウラスギは折れにくく、枝が重みに押されて地面に着くとそこから根が出て、新しい木が生育するという特徴があります。
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ウラスギは特に雪の多い地域では、横に繁茂して特徴的な形状を示すものが出てきます。
白山麓は昔から豪雪地帯でしたから、吉野谷の御仏供杉や、この五十谷の大杉はこの特徴が顕著なものです。御仏供杉は山裾とはいえ低地の広場ににあるため横の広がりが目立ち、お椀を逆さまにしたような形で離れて立って観るのに適しています。五十谷の大杉は山麓の裾の神社の狭い境内にあるために、道路や参道への危険防止で剪定や枝への補強棒が施されているので、神社と一体化していて間近で座ってみる方が良いと思います。

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説明板によれば五十谷の大杉が石川県の天然記念物の指定を受けたのは昭和50年(1975年)

指定理由・・・ スギの古木として、樹勢はまだ若く優良樹と確認さている。比較的自然状態が良好に保たれている環境の山林中にあることから、はじめ実生としてブナ帯に野生したものが、周囲の薪炭林又は焼畑による開発に耐えて生き残ったものと解され、過去の植生の残存を示すものとして貴重なものである。

白山麓は山地が多く耕作地が少ない地域です。このため昭和初期まで「出作り」と呼ばれる山の民の生活様式の形態がありました。出作りは農耕期(5~11月)に出作り先の住居(出作り小屋)で過ごし、農閑期(12~4月)には村に戻るという一種の二重生活と云えるものです。鳥越から更に奥に行く旧白峰村では、冬の間も出づくり先に籠る「永久出作り」も行われていました。この出作り小屋については白山麓に詳しいgoさんのブログに載っていて興味深かったですねえ。
goさんのブログにあったように、耕作地は山の斜面や僅かな平地を利用していましたが、、、、山奥の出作り先では山の斜面の雑木を薙ぎ払い焼いて畑にしていました。
昔、中部の各地で行われていたこの薙畑(なぎはた)型焼畑(やきはた)は白峰が発祥と云われていますが、この鳥越の奥地とも云える五十谷の辺りも出作りの地として焼畑が行われていたそうです。また古くから薪や炭焼きもこの辺りは行われていたそうです。焼畑や炭焼きの燃料としての伐採からも免れてきた杉ということです。そういう作業から逃れたということは、作業する山の民によって神木として植樹されたのではないかとも考えられています。
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古くから神木として崇められていたようで神社よりも歴史が古いようです。
神社の創立年は不明ですが、伝承としては江戸期に入って、地元住民がこの大杉の樹上に巣を作った鷹を捕らえて、加賀前田家に献上したところ、大きな褒賞を授かったそうです。住人はこれを神仏の御加護としておおいに喜び、仏像を安置したのが始まりとされています。当初は八幡社と称しましたが、昭和20年(1945年)に現在の五十谷八幡神社と改称しています。
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五十谷の大杉の説明板データ ・・・樹高38.5メートル、胸高周囲7.27メートル(根元周囲8.78メートル)、樹齢1200年と推定。太い力枝が地上1メートルからすぐに分かれており、水平に5メートル程せり出していて、そこから今度は垂直に上昇しています。分枝は密に存在していて枝張りは27.5メートルに及びます。このため、広円形樹型を呈しています。(昭和58年(1983年)当時)

データからは30年以上経っていますから、幾分サイズには違いがあるとは思いますが、それとは関係なく異形さと尊厳さを兼ね備えた樹形を我々に見せてくれています。
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この五十谷の里には現在、住人は一人と一匹、五十谷八幡神社のお隣なんですが、こちらには知る人ぞ知るお蕎麦屋さんがあります。僕も名前だけは知っていましたが、ここだとは知りませんでした。 「登竜門 才次郎」(ノッチさんのブログ
まさかこんなところにという場所にある蕎麦処です。今度、嫁さんを誘って行ってみようっと。

五十谷を過ぎて道を進むと三叉路になります。左に行くと大日川ダム、右に行くと尾小屋の手前に出られます。興味本位で走ってきましたが、とんでもない道で車一台がやっとのクネクネ道の起伏道でした。。Uターンできないから覚悟して走って下さい。

旅行日 2014.10.18




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この記事へのコメント

  • がにちゃん

    すごい 神様が宿っているような気が写真見ていてもしますね  この巨大杉の全容の写真がまたすごい なかなかこの大きさの写真はすべての姿が私にはうつせませんの
    2014年10月26日 20:08
  • つとつと

    なかなか迫力のある杉で、力枝の真ん前にベンチがあるんで自分に迫ってくるように見えるんですよ^^ウラスギの根元を間近に触れるのは貴重な存在です。
    写真はあっち行ったりこっち行ったりでウロウロしながら撮りました。大きいんでズームは一切なしで^^;
    お隣のお蕎麦屋さんもお奨めの野趣な感じ^O^お客さんが来てから捏ねるんで、30分~1時間待つ覚悟が必要なんだそうです。機会が在ったら是非、、、
    2014年10月26日 20:53
  • go

    五十谷は初めて聞く地名です、地図で見ましたが随分山奥ですね、終戦後まではこんな山の中でも自給自足の生活をする人々がいたのでしょうね、林業、炭焼き、焼畑等で生計を立てていた様です、農家の次三男は耕作地を求めて山に入ったと聞いています。
    五十谷の杉は凄い格好をしていますね、枝が横に伸びて独特な形をしていますが、広円型樹形というんですね、1200年の今でも大きく葉が茂りまだまだ勢いがあるようです。
    御佛供杉も知られていますが五十谷の杉は人目に触れにくい山奥にあるのであまり知れれていませんが凄い杉で驚きました、たしかにウラスギは太平洋側の杉とは一線を画しているようです、北陸の多雨、高湿度の気候に合った杉でしょうね、それで長生きしているのでしょう。
    2014年10月27日 12:52
  • つとつと

    goさん
    五十谷は下吉野の信号から鳥越に向かってトンネルを越えた別宮神社の信号を左折して、途中の五十谷の看板のある川伝いに右側道を入ったら、道なりなので意外に楽な道です。途中の相滝の手前の田園は今赤とんぼが群舞しています。
    やはり雪が積もるのでそれに合わせて粘り強い木質になったようです。地に這うような形は素晴らしい。。自然の生命力を感じます。
    2014年10月28日 11:37

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