遣水観音山霊水堂(仏大寺の霊水)

昭和60年(1985年)に選定された名水百選とは別に、平成20年に選定された名水百選があります。
昭和の百選とは重複しないように選ばれていますが、石川県内からは4か所選ばれています。内3か所が加賀から選ばれています。
白山市(旧美川町)にある手取川の伏流水から湧き出る白山美川伏流水群。小松市にある白山の伏流水が涌く桜生水(さくらしょうず)。
そして今回ご紹介するのが能美市(旧辰口町)仏大寺にある遣水(やりみず)観音山霊水堂仏大寺の霊水です。

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加賀地区の人で湧水の人気投票をすれば、たぶんトップになるんじゃないかというぐらい人気のある場所です。
標高400メートルほどの観音山の林道を2キロ程進んだ場所にあり、駐車場には水汲みに来た車がいつも見られます。湧水の蛇口が龍になっていて5.6個あるんですが、湧水の勢いにはビックリするくらい。

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霊水堂から登ることのできる観音山は標高400メートルほどですが、白山山系西方のでっぱりみたいな所で孤峰になっています。前述のように水系が豊かで別名・遣水山(やりみずやま)とも呼ばれています。

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北陸の寺社や神社に行くと、由来に名前が大概に出てくる「越の大徳」と呼ばれる白山開山の泰澄上人ですが、この山や山裾も泰澄上人を信奉する修験者の拠点になっていました。
今では霊水堂目当てや観音山から縦走するトレッキングコースとして女性陣が多く訪れていますが、明治までは修験者の山として女人禁制になっていました。
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観音山の七合目には古くから十一面観音を納めた観音堂があり、その法灯は遠く沖合からも観られて漁民の崇敬を集めていたそうです。残念ながら平成5年(1993年)に火災に遭い(放火と云われています。)焼失ししまいました。現在は新しい観音堂が同じ場所に建てられています。
沖合から法灯が観られたように、弧峰ということもあり頂上にある展望台からの日本海や手取川扇状地の風景は絶品です。
久しぶりに上って眺望を観ようと思って登り始めたのですが、病み上がりで息切れと足腰が弱っていたこともありほんのわずかで断念またの機会にと思っていたんですが、その機会もなく1年が経ってしまいました。。
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焼失した観音堂の十一面観音は地元では泰澄上人作と云い伝えられていますが、調査では鎌倉時代以前の作と推定されています。ちなみに、霊水道横にある祠の観音菩薩の石仏・八幡社の地蔵菩薩立像も鎌倉時代以前の作だとされています。
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林道に入る手前にある仏大寺町には中世の頃には大伽藍の仏陀寺があったとされています。村落内に仏陀寺跡の石柱がありますが、これがこの町名に由来しているそうです。
旧辰口町の町史によれば、開創は白山開山の泰澄の同行者・釈蔵縁と云われています。泰澄と共に山岳修行を共にし、晩年は中宮・荒谷にある笥笠中宮神社(すがさちゅうぐうじんじゃ)に居を構えて、ここを拠点に白山信仰を拡げたとされています。ちなみに、笥笠中宮は白山七宮の一つに数えられ平安期後期には本宮を凌ぐ勢力だったとされています。白山山系の出城的存在の観音山にも修行の場と修行者の拠点を置いたと思われます。
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南北朝期には曹洞宗の峨山禅師の弟子・太源宗真禅師(總持寺第三世)が正平18年(1363年)、草庵を作り夢幻寺を開創します。これが後に仏陀寺になったとされています。戦国期(一向一揆時代)も白山信仰の寺としてそれなりの権威を保っていたと記述があります。荒廃は織田信長の侵攻の頃ではないかと推測されています。近くに一向一揆の主要山城の虚空蔵山城・岩倉山城が近いということもありますから。
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観音堂の十一面観音や霊水堂の地蔵菩薩は、釈蔵縁か仏陀寺所縁の物ではないかと考えられ、荒廃により分散したものと推定されます。その後、明治期の廃仏毀釈の際には、観音堂を町内の八幡社の奥の院と称して霊水堂と共に整備保存してきたものです。
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山の中という場所ですが、水系も豊かで霊水堂の周りや奥の林道に進むと、清流の流れが多く観られます。
もちろん霊水の御味も絶品です。

旅行日 2013.11.30




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この記事へのコメント

  • go

    つとつとさん今晩は、手取川の三角州にはあちらこちらに名水が湧きだしていますね、いま私は白山手取川ジオパークのパンフレットを見ていますが、地図では白山市の美川伏流水群のことまでで能美市の仏大寺遣水観音山霊水のことは掲載されていませんがここも美川伏流水群に含まれると思っています。(私の見ているパンフレットは白山手取川ジオパーク推進協議会が出版しているので能美市のことは載っていないのでしょう)
    遣水観音霊水の水圧は一般家庭の水道程の水圧があるようですね、白山の山麓に降った雨が海抜0mに近いところまで降りてくるとこれだけの水圧になるんですね、驚きました。
    ここにも越の大徳泰澄神融蝉師に御縁があるようですね、泰澄は白山開山や那谷寺の開創など北陸の仏教や当時の人の信仰心を導いて下さった師の様です。
    泰澄禅師の同行者の釈蔵縁が晩年居を構えた中宮の笥笠中宮神社の近くに知り合いが深山料理の店をしていて時々おじゃましています、その店の名前が「けがさ」という名前です、名前の由来を聞いたら店の近くの神社の名前からきているそうです、笥笠中宮神社は昔は「けがさ中宮神社」と呼ばれていた様です。
    郷土の歴史のことはまるっきり盲目ですが、つとつとさんの記事を読ませて頂いてからドライブに出かけても色々と気になっています。
    話は変わりますが、先週の日曜日に鳥越の新そば祭りに友人といってきました、新そば祭りに行く前に五十谷の大杉を見てきました、友人共々感動しました、その内にブログの記事にしますがつとつとさんの様な立派な記事は書けないのでつとつとさんの大杉の記事をリンクしたいと思っていますよろしく御了解の程お願いします。
    2014年11月14日 21:10
  • つとつと

    goさん
    笥は本来「け」が正解だと思います。かわらけも漢字では「瓦笥」で、笥は元々は食器や杯を指すそうです。でも、いつから「す」になったのか「笥笠」の意味はいまだに解らずじまいです。goさんは卑下されますが、僕より十分詳しいと思いますし、実際参考にもさせて戴いています。中宮には「けがさ」さんの深山料理や「むらうち」さんの豆腐料理など名店がありますねえ。スキー場が休業して中宮に訪れる人が減ってしまいましたが、神社や七葉樹の名木があり、また立ち寄ってみたいと思っています^^
    白山ジオパークは白山市の旧町村支所の観光課が世界ジオパークを目指して申請登録したそうです。実際、ジオパーク登録は国内でも早期に認められた貴重な存在です。やはり手取川は石川県の名前の元でもあるし、湧水や飲料の他にも加賀扇状地や内灘・千里浜といった特殊な砂丘や海浜を組成する源泉ですねえ。
    五十谷に行かれたんですか?素晴らしい杉だったでしょう^^僕のまずい記事で良ければいつでも使ってください^^逆に恐縮なくらいです^^;
    そうそう、山﨑旅館に行かれたんですねえ^^先を越されちゃいました^^;再開の情報を聞いて以来ずっと行きたかったんですが果たせずにいました。なにせ高所恐怖症の嫁さんの拒否権が強くってTT20年ほど前に言った時のトラウマが強いようです。
    できれば、あそこには運転手で行きたいですね^^;助手席は非常に勇気がいったと思います。まさかgoさんは助手席だったんですか^m^

    2014年11月15日 13:25
  • がにちゃん

    美味しいお水  汲みに行きたいですね  観音様に抱かれているようなこの地をハイキングしてみたいですね
    2014年11月16日 17:31
  • つとつと

    がにちゃんさん
    人気がある通り美味しいお水ですよ^^
    観音山は信仰の山ですが、現代は女性もOK^^白山麓のでっぱりの場所なんで加賀平野に流れる手取川の扇状地が綺麗に見られます^^
    石川県内には昭和と平成合わせて8個の名水が選定されています。お立ち寄りの際にはぜひお勧めです。
    2014年11月17日 01:32
  • 家ニスタ

    名水あるところ名酒ありといいますが、北陸のお酒がおいしいのは、そんなところに理由があるんでしょうね。
    湧水を使った清酒とかもあるんでしょうか。
    2014年11月18日 23:35
  • つとつと

    家ニスタさん
    白山信仰は白山という山そのものが対象と思いがちですが、白山を祀る寺社仏閣には必ず白山水があります。北陸と岐阜にはこの白山水の恩恵で酒造が多く出ています。白山(手取川)の伏流水を使用している中でも有名なのは白山の5酒造、菊姫、吉田酒造の手取川、小堀酒造の万歳楽樂、金谷酒造の高砂、車多酒造の天狗舞。個人的趣味では手取川ですかね。次の記事に書く津幡町の久世酒造の長生舞も自家製の湧水2種類を使い分けています。実家ではこのお酒がメインでした^^
    酒造の数では新潟に譲りますが、美味しいお酒は多いですよ^^V
    2014年11月19日 09:38

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