和田山城址

和田山城という名前を聞くと、城好きな人は今人気の天空の城・竹田城の別名と思われそうですが、今回の城は加賀の手取川南岸の丘陵地帯にあったお城です。
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古代における石川県の中心地は手取川南岸から加賀温泉に広がる平野部であったと云われています。当時は加賀三湖や大小の湖沼が存在していましたので、現在の小松市街の旧8号線(現在の305号線)東部の加賀国府があったという古府町辺りから手取川南岸の寺井(現・能美市寺井)の平野部だと推測されています。

寺井や小松の西部を訪れると、なだらかに広がる平野が広く感じると思います。
その平野部にポツネンと標高50メートルほどの丘陵地帯があります。昭和の高度成長期に道路建設や住宅地の造成のために大きく削られてしまいましたが、この丘陵地帯に3~7世紀にかけての古墳が集積しています。
以前紹介した北陸最大の古墳・秋常山1号墳の秋常山、多くの武具が発見された和田山5号墳、40数基が発見発掘されている和田山・末寺山古墳群、同じく10基以上が確認されている寺井山古墳群などなど。。。元々、これらは同じ丘陵地でしたが、前述のとおり造成による掘削により大きく削られ、その際に更にあったと思われる古墳群が失われてしまったようです。
この大規模な古墳期・飛鳥期(3~7世紀)の円墳・方墳・前方後円墳・前方後方墳など、古墳の展覧会のような場所が存在するのですから、加賀の古代史の中心地はこの近辺だと推察されます。

この古墳群はまたの機会にご紹介したいと思いますが、史跡公園として整備が進んでいますから、古墳時代の草創期から終末期にかけての物が気軽に観られます。古代史ファンにはぜひ訪れて欲しいスポットです。

この古墳群のある丘陵地帯は中世期となる室町・戦国期においても加賀の前哨地として重要視されていました。40数基を持つ和田山には古墳を利用した城跡があります。それが今回ご紹介する「和田山城址」
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和田山城に最初に砦を築いたのは、永正3年(1506年)一向宗の和田坊超勝寺が最初と云われています。
超勝寺は越前(現在の福井市藤島)に本拠があり、蓮如時代には北陸進出の拠点とされた寺で、一向宗内最大の内乱となった大小一揆には大一揆(本願寺側)の北陸の拠点になった寺です。その名が冠されているのですから、大小一揆には本願寺側の最前線基地になっていたようです。しかし大小一揆の際には、小一揆側に立った越前朝倉家の名将・朝倉教景(宗滴)が、本陣を置いたという記録も残されています。

その後、天正3年(1575年)織田信長の侵攻により柴田勝家が北陸進出の際には、越前確保の後は加賀侵入も行いこの辺りまでを勢力圏に納めています。その際に、柴田家臣の安井左近に命じて城を改修させています。
現在の城跡の遺構はこの時の物と云われています。
天正8年(1580年)の尾山御坊陥落後は、一向宗門徒は白山麓の鶴来の船岡城・鳥越の鳥越城に籠って抵抗を続けるのですが、それらに対抗する織田方の前線基地として、安井左近が改めて城主として入城しています。
天正8年(1582年)加賀一向宗の壊滅と共に、その役割を終えて廃城となっています。

城址は典型的な平山城の形態ですが、標高は40メートルほどでさほど堅固さは感じられません。
丘陵地帯の南西に突き出る岬のような位置にあるので、防御監視がメインの城だったと思われます。
土塁・空堀・二の丸・本丸などが遺構として見られます。特に犬走り下の逆落としなどは急な崖形状が観られます。
特筆すべきは、ここが古墳地帯ということ、そのため空堀の周溝の一部、二の丸・本丸に残る櫓台は、それぞれ8・9・14号墳と呼ばれる古墳をそのまま利用しています。ちょっと罰当たりな感じですが、城の遺構としてはおかげで、現在でも雰囲気は解ります。

二の丸跡
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二の丸 櫓台跡地(第8号墳)
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二の丸 空堀 1枚目の左が櫓台(8号墳)、ここの空堀は古墳の周溝を利用して造られたものです。
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虎口
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本丸 右が櫓台跡(9号墳)
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本丸 内郭(14号墳)周溝 逆落とし
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空堀などはもっと深かったそうですが、古墳群は国史跡として保存されていますので、城としてはあまり知られていませんが、小規模ですが城の形態も形状が解るようになっています。

古墳・城好きの人にとっては両方いっぺんに観られる貴重な存在です。

旅行日 2012.10.04








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