戸室山 医王山寺~

暖冬だなあ、もう雪は無しかなあと思っていた年初め、ところが10日過ぎくらいから急激に寒くなって雪が降り始めました。その降り始めの12日、でも市街はチラつくくらいで積雪もなかったんですが、仕事で金沢大学の角間キャンパスに行ったんですが、案外に早く終了しちゃって手持無沙汰の時間が。。
画像
画像
画像
というわけで、足を延ばしてキゴ山の方に行って観ることに。。
さて山の方に向かってみると、積雪はたいしたことはないけれど、さすがに寒いと思っていたら。。
昼過ぎだというのに山の木々には雪の華や氷樹の華が咲いてるじゃないですか。。



金沢中心街から10キロ弱と車で30分ほどで行けることと、キゴ山には自然観察やキャンプなどの屋内外施設やプラネタリウム(銀河の里キゴ山)など子供に人気のある場所で、家族連れが多く集まってきます。
冬季間もプラネタリウムはもちろんですが、スキー場もあって一年を通して人気がある場所です。
今冬は雪が降らなくて、スキー場や雪まつりが出来なくて心配されていましたが、この日の後からの一気の積雪で解消されたようです。よかったよかった。
画像

キゴ山(標高546m)の斜面を利用する医王山スキー場の向かいにあるのが戸室山(548m)になります。
戸室山と言えば戸室石。金沢城の石垣の95%がこの石を使用しており、重要神社の石垣・鳥居・狛犬、上級武家屋敷の塀石垣基礎、石橋の用材、用水道の導管などに使用されていた加賀を代表する名石です。金沢城建築時はこの戸室山を中心にキゴ山を含む半径1.5キロくらいの範囲で行われていました。その数は1300カ所あったと云われていますが、主要な場所として戸室新保、戸室別所などの地名が残っています。ただ、江戸期を通じて採掘されたために良質な戸室石は掘り尽くされた感があり、現在復元された金沢城の河北門・橋爪門などの石垣復元には、江戸期の石切場よりも2キロ近く南の湯涌街道近くの同地層を使用しています。

金沢城から一番近くで約8キロ離れた採掘・石切り場があったわけですが、金沢城の石垣の原石は採掘現場の石切場で直接に形を整えて運搬されていました。運搬方法は石を釣り下げた心棒に中棒を通して大勢で担ぐ「石釣り」。石を車輪の着いた台車に乗せ綱を引っ張る「地車」。修羅と呼ばれる木ソリを引く「修羅引き」がありました。基本は石釣りを中心に必要に応じて地車や修羅を使い分けたようです。石釣り、地車を使用するためには道幅が必要で、道程約10.7キロ、道幅9メートルの石引き道が整備されていました。現在の金大病院前の道路がその石引道にあたり、町名・石引町として残っています。

戸室石は約45万年前に火山活動で噴出された溶岩の噴石から出来た安山岩の輝石種になります。色が赤色と青色がの2種類あり、赤戸室青戸室とそれぞれ呼ばれており、軟らかく加工しやすい赤は鳥居や灯籠などの加工品に使われ、固い青が石垣・基礎石に重用されています。近年では熱伝導の良さから、焼き芋の焼き板や岩盤浴の岩盤としても注目を集めています。

溶岩ということでお気づきだと思いますが、太古(1500万年前)には医王山系も火山だったということです。戸室石の源になったのは、これとは別に戸室山・キゴ山は約45万年前に噴火した火山だとされています。地質学的には戸室山崩壊と呼ばれる火山特有の地盤崩壊の後が1万8千年前に起ったことが確認されています。その規模は金沢大学角間キャンパスの隣町の俵町、湯涌温泉に向かう湯涌街道(焔硝街道)まで及んでいます。

昨昨年、多くの犠牲者を出した御嶽山噴火(H26.9)、避難勧告の出た口永良部島(H27.5)、H25に始まって島の拡大をいまだに続ける西之島。昨年も箱根山・阿蘇山・桜島などが中小規模の噴火をしています。
日本列島は多くの火山を抱えていますが、いくつあるかご存知でしょうか。

僕たちが地理の授業で火山を習った頃は、今現在活動しているもの・噴火している火山は「活火山」という具合に「活火山」「休火山」「死火山」と分けていました。ところがだんだんと活火山の定義が変わって、休火山、死火山は無くなってしまいました。けっこう、コロコロ基準が変わっているのです。
昭和30年代には諸外国では噴火記録のあるものや活動中の火山は「活火山」とするのが一般的になりました。
日本もそれに倣ったわけですが、昭和50年(1975年)には「噴火の記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山」として77座を正式に選定したわけです。でも一般人には前述の活・休・死火山は認知事項のままにされていました。基本的には気象庁と連絡会だけが活火山の認識を変えていたわけです。

ところが昭和54年(1979年)に気象庁・連絡会が大慌てする事態が発生します。
有史以来、噴火記録がなく活動の気配もないとしていた御嶽山が突然噴火したのです。この噴火で改めて連絡会は平成3年(1991年)「およそ2000年内に噴火又は活動中の火山」として86座の火山を活火山指定しています。ここで、やっと休火山・死火山という名が無くなったわけです。
ところが、人の記録はあいまいなものも多く、判読も必要です。大規模噴火は記録しても小規模や孤島・海底火山は記録になかったりします。また文字のない2000年内の噴火跡が発見されたり、更に海外では数千年の休止後の噴火が発生したりで、またまた変更。平成15年(2003年)「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と活火山定義を改めて、現在110座になっています。一応、これが正式な日本の活火山の数になります。(一応、北方領土も含めての数です。)
それにしても、その場その場で変わる基準や監視・研究が変わる火山大国。日本の火山研究や国の火山監視機関の実状とは嘆かわしい。

現在、気象庁が活火山として認識しているのが110座ですが、連絡会の答申が「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」とした47座が監視対象となっています。
詳細を知りたい方は ⇒ 気象庁HP

ところで、現在の地質学、古生学の見解ですが、現代は第四紀になるんだそうです。これは地質というよりはヒト属の発生を基準にしているので新発見で変わっていくものです。258万8千年前~ということなんだそうです。古生代に詳しい人はご存知だと思いますが、生物相の激変が起こった生物絶滅のような地質の激変がないということは、地質的には人類が続いていることから、劇的な造山や外的要因がないことを示しています。当然ながらこれ以降に噴火した火山はまた活動する可能性が高い。これが現代の地質学の世界的見解です。
この基準で日本を照らし合わせると、450座の火山があることになります。

そうすると、医王山系では1500万年前噴火の医王山(いおうぜん)は除外されますが、約45万年前のキゴ山・戸室山は十分可能性があるわけですね。1万年より古いとはいえ、1万8千年前に火山性崩壊を起こしてるんだから要注意になります。
ちなみに県庁所在地に260万年以降の噴火や造山の火山があるのは約20座だそうです。その内、立派な活火山・桜島が鎮座する鹿児島市は別格として、市街地に近接した火山を持つのはキゴ山・戸室山の金沢市。金峰山というカルデラの山がある熊本市になるそうです。
火山によって、造岩の名石や石材、名湯の温泉地など恩恵も多いのですが、研究や危機対策は行政の責務になってきます。
画像

戸室山の登山口にあるのは最勝寺医王山寺
画像
画像
画像
昭和28年(1953年)、天台宗寺院の住職だった井上貴おう(行照)が医王山を開山した泰澄上人(北陸の霊山はほとんどこの人と言われる人、越の大徳)に感化されて、医王山系の遺跡再興を発願して庵を置いて「医王山立宗」という新興の宗派を開いたものです。井上貴おうが開祖になるのですが、奥さん(順照)が東山に在った天台宗の最勝寺の住職だったのですが、改宗して寺院本堂をこちらに移して二代主管を継承し、現在は三代目に受け継がれているそうです。医王山立宗については、あまり詳細については、密教修験をベースにするという以外は知らないので、またの機会に。。
画像
画像
画像
一応、金沢三十三観音霊場(番外3寺で36寺)の十三番・医王山寺二十番・最勝寺とそれぞれ札所になっています。石段の中腹に開祖・二代の夫婦の墓碑と歌碑があります。
画像
画像
画像


この医王山寺を抜けると400段以上の急角度の石段があります。ここが戸室山の登山道としてはオーソドックスな入口になります。ただ、見上げると首が痛くなりそうな急階段。運動不足な上に、積雪があるので躊躇しましたが登ってみることに。。
画像画像



















日頃の運動不足にこの段数。。あげくに新雪の積もった石段。。一段一段と注意しながら登り切りました。。息が切れちゃいました。。運動しないと駄目ですねえ。。2日後には、しっかり筋肉痛になりました。
登り切った石段の頂上地点に立つと、真正面に医王山スキー場の斜面が広がります。同じくらいの高さのキゴ山戸室山が同じ頃に生まれた兄弟の山だと実感できます。
画像
画像
画像
更に左折して、平坦路を進むと、積雪が深くなってきました。雪上にはウサギだと思いますが、点々とした足跡がありました。しばらく進むと戸室権現の磐座があります。

そこから登りを少し進むと頂上なんですが、積雪が深くなってきていますので断念。。さすがに冬装備ではありませんでしたから。。以前登った時は頂上までには、建物を廻りこんで登った先に、三角点や変わったモニュメントがあったような記憶が。。またの機会にということで今回は引き返しました。

旅行日 2016.01.12


"戸室山 医王山寺~" へのコメントを書く

お名前:
メールアドレス:
ホームページアドレス:
コメント:

最近のコメント

「延喜式神名帳」- by つとつと (06/02)

「延喜式神名帳」- by y&m (06/01)

「延喜式神名帳」- by つとつと (05/28)

「延喜式神名帳」- by 藍上雄 (05/28)

「延喜式神名帳」- by つとつと (05/27)